刀を使わない剣術「虚刀流」の七代目当主である鑢七花(やすり しちか)は、姉の七実とともに不承島で暮らしていた。
その島に、幕府から変体刀の収集を命じられた「奇策士とがめ」が、虚刀流当主の力を借りるために訪れる。
とがめの、「愛のために戦う剣士を雇いたい」との言葉により、伝説の刀鍛冶「四季崎記紀」の作った刀、完成形変体刀十二本を集めるため共に旅に出ることになる。(wikiより)
このアニメは面白い。
時折、主人公とヒロインとの会話に、恥ずかしいセリフが禁止されずに続くことがあるが、それさえ慣れればこの作品を楽しむことができるだろう。
放送形態は珍しく、2010年の月1回づつ全12話の放送であった。
当時すでにアニヲタだった獄長もリアルタイムで全て視聴した。
週1アニメでもスポーツ中継などで何周か開くとストーリーを忘れたり、見忘れたりするものだが、このアニメは1年間全て見ることができた。
それは、変体刀を月1本づつ、計12本集めるというストーリー上の計算と、あとはやはり単純に面白かったからだと思う。
その多彩な見所
原作は西尾維新氏のライトノベル作品。
特徴の1つに登場人物同士の「語り」の長さがある。
あまり動きがなく会話のみのシーンが目立つ時があるが、決してだれることがない。
むしろ、長所としてしまうところはタランティーノ作品や京極夏彦の小説を思わせる。
言葉選びがうまいのだろうか、なぜか飽きない。
とにかく視聴者を飽きさせない仕掛けが多いこのアニメ、OPは前後半の2種類、EDはなんと毎回変わるのである。
ここまで力を入れている作品は、他に「はなまる幼稚園」以外、獄長は覚えていない。
さらにサントラの作りこみも見事と言うほか無い。
そしてヒロインの、ゆかりん演じる「とがめ」は当初巻きつくような長い髪なのだが、ちょうど真ん中の第7話でその髪がバッサリ切られることになる。
これによってロングが好きなアニヲタとショートが好きなアニヲタの両方が楽しめる仕様になっている。
さらに飽きないと言えば、イラストはイラストレーターの竹氏が担当しており、これは素晴らしいの一言である。
ちなみに「とがめ」はたまに片目が十字になるのだが、これは「十が目」という意味だろうか。
計算されたストーリー
ある有名な監督さんが「伏線とは借金のようなものである。作品が終わるまでに返さなければいけない」ようなことを言っていた。
このアニメ「刀語」において、様々なトリック、伏線とその回収はほぼ完璧なんじゃないだろうか。
緻密に計算されたストーリーの割には、全体的に筋が分かりやすい。
途中、流行の精神世界描写があり獄長を不安にさせたが、長く引っ張ることはなかった。
すでに誰もが知ってる「死亡フラグ」を詰め込み、他作品のオマージュ(だと思う)を出すという遊び心も忘れない。
時折見せる主人公とヒロインの緩い雰囲気と急に現れる残虐なシーンとのバランスも絶妙である。
ネタバレになるので、当然述べられないが、オチの意外性も秀逸で獄長なぞはまったく予想も出来なかった。
そして、キャラクターも全員個性があり、無駄なモブキャラは一切出てこない。
おすすめはやはり真庭忍軍の真庭人鳥(まにわぺんぎん)と凍空こなゆきになってしまうか。
見れば分かる。
キャラクターと声のイメージ
さてそして、ゆかりんである。
ゆかりんと言えば、獄長的三大実力派声優のひとりだが、ヒロインとがめの声に非常にあっている。
奇策を考える小狡いところや、見た目より歳がいってるなどリアルゆかりんだと思うのだが。
原作を先に読んだコアなファンはどう思っているのだろうか。
マンガでもそうだが、先に原作を読むと自分の中で先入観が出来てしまうからな。
まあ、ゆかりんに関しては後にゆっくり述べる機会を設けたい。
ところで、ここまでいいことしか書いていないので、皆さんも分かってるとは思うがアニメ「刀語」は認定である。
最後に、アニメの出来において声優さんの力量が非常に重要だということ言わずもがなである。
よく、ボイスキャストにTVタレントを起用する制作会社があるが、獄長は断じて反対である。
理由はキャラが喋るとき、そのタレントさんの顔がちらついてしまうからである。
そうなると、イマイチ話に入っていけないのだ。
だが、なぜか顔を知ってても声優さんにはそうはならない。
先入観って大切だね。
ところで西尾維新氏原作のアニメ化と言えば、「化物語」が有名だが「刀語」の知名度が低いのは疑問である。
画像:https://video.unext.jp/